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1979年8月 ロンドンにやってきた 6

飛行機はさらに飛び続け、周りの風景はまるでアラジンと魔法のランプ(他に例えは無いのか?!)に出てくるような、いわゆるラッキョウ形の屋根を持つ建物がたくさん見え始めた。
なんだか夢の中に迷い込んだような不思議な気分だ???
写真でしか見たことの無いものを初めて目の当たりに見ると、こんな気持ちになるのだろうか?
飛行機はしばらくして、何の変哲も無い平屋の建物のある飛行場に着陸する。
いくら海外経験のない私が見たとしても、ここがロンドンではないのは一目瞭然。
さっそく近くにいた日本人(この人は学校の先生。夏休みを利用してヨーロッパを旅行しに来たといっていた人で、迷える子羊となってしまったこの時の私にとって、もっとも重要な道案内人と私が勝手にマークをした人である。彼にとってはハタ迷惑な話であるが。)聞いたところ、ここはパキスタンのRAWALPINDIという飛行場らしいということがわかった。
ここでも我々は飛行機から荷物を持って放出された。
しかし北京でおきたようにPASSPORTを奪われることはなく、移民局で担当者がちらっと一瞥をくれただけで返された。
移民局を出たのはいいが、これからどうすればロンドンに行けるのか、全く判らない。
ロビーでウロウロしていると、外国慣れしていそうな日本人らしきお姉さん(まだ私も若かったので)が通りかかったので、事情を説明したところ、近くにいた空港の係員らしき人にきいてくれた。
前にも書いたが、この時点で私は語学は全くダメ、この旅行の前に某G英会話で3ヶ月の集中講座を受けただけで、どちらかというと語学よりもみんなで行ったDISCOのほうがよく覚えていると言った具合である。
したがってこのお姉さんが係員に何語で何を聞いたのかも、全くわからない。
その係員はお姉さんに何か言うと、彼女は私に「係員の人がPASSPORTを見せてくれと言っている」と通訳してくれた。
言われる通りにPASSPORTを渡すと彼は、私のPASSPORTを持ったままスタスタと歩きき始めるではないか。
ちょ、ちょっと待ったぁ!
今ここで彼を見失ったら大変である。
しかし彼はすでに人ごみの中にまぎれてしまい、見えなくなってしまった。
ロンドンに向かう飛行機ももうすぐ出るかもしれない。
続く



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